DAKS 125 Years
Anniversary
Talk

DAKSの創業125周年を迎えるにあたり、日本を代表する著名人の方々にDAKSにまつわるお話をうかがいます。それぞれの目には125年に亘るブランドの魅力がどのように映っているのでしょうか?

INTERVIEW MOVIE
PROFILE
佐々木 蔵之介
Kuranosuke Sasaki
俳優。1968年京都生まれ。神戸大学農学部卒業。NHK朝の連続テレビ小説『オードリー』、NHK大河ドラマ『風林火山』、『白い巨塔』、『ハンチョウ~神南署安積班~』・『ハンチョウ〜警視庁安積班〜』シリーズなどのテレビ番組をはじめ、映画では『間宮兄弟』、『20世紀少年』、『嘘八百』など話題作に多数出演。『スーパー歌舞伎II(セカンド) 空ヲ刻ム者-若き仏師の物語』では歌舞伎に挑戦するなど舞台でも幅広く活躍する。第17回読売演劇賞優秀男優賞(2010年)、第47回紀伊國屋演劇賞個人賞(2012年)、第40回菊田一夫演劇賞演劇賞(2015年)、第38回日本アカデミー賞優秀主演男優賞(2015年)と輝かしい受賞歴が示す通り、誰もが認める実力派俳優である。

映画や舞台、テレビ、CMに大活躍中の佐々木蔵之介さんは、深みのある演技のみならず、飾らない人柄で多くの人に愛されています。そんな佐々木さんが日経ビジネス4月号にDAKSを着用して登場。DAKSも125年に亘りなお、彼と同じように人々から愛される存在でいたいと考えています。今回はイギリスの歴史上の人物を演じたときの心境をはじめ、お仕事のクオリティ、DAKSについてなど、幅広く佐々木さんにお話を聞かせていただいきました。普段は聞くことのできない貴重なコメントの数々をお見逃しなく。

洋服の存在が役づくりの視野を広げる

――役者と衣装の関係性についてどうお考えですか?

佐々木
ドラマなり、映画なり(の仕事)に入るとき、台本をもらって必ず最初にする仕事が衣装合わせっていう仕事です。そこではじめて私と役柄が紹介されます。監督さん、スタッフさんをはじめ、みなさんと顔を合わせるのが最初の仕事である衣装合わせの場です。そのときに、このシーンでは、この衣装を着て、こんなメイクをして。じゃあ、手持ちの小道具はどうしますか? 時計は? 万年筆は? 靴は? といった詳細な打ち合わせをします。それほどに重要。衣装合わせが最初の場だけに、みんなが手探りの状況なんですね。自分なりに役者は役をイメージして造形を立てるんですけど、衣装さんが考えて立てたアプローチ、それに対して監督がどうするか? 衣装合わせは本当にこの役をこんな風にイメージされるのかと思ってすごくためになりますし、もちろん芝居も変わってきます。

雑誌撮影の時には役柄があるわけではありません。でも、スタイリストさんがコーディネイトを3点、4点と用意してくださったら、「あ、これはちょっと攻めてるな」なんて思うことがあります。また、衣装の候補を順に見せてもらいながら、これはちょっと固めですという風に説明を添えて見せてもらうことも。自分では洋服について想像できる範囲がすごく狭い。でも、洋服を通じて「あなたがこんなものを着たら、こういう見せ方ができる」、「あなたにはこういう部分がある」と、違った見方を教えてもらうことができます。それは先ほどの衣装合わせも同じです。非常に視野の広がる手助けをしてくれる点で洋服の存在は大きいですよね。

シェイクスピアの作品に
イギリスの本質を感じる

――イギリスの歴史上の人物を演じる上で意識したことを教えてください。

佐々木
シェイクスピアが書いたマクベスを演じるときはスコットランドが舞台なので行きましたし、ここに魔女が出てきたとか、この井戸で実際にレディマクベスが手を洗ったとか、フォトブックを手にしながらいろいろと回ったんです。読んでいるだけでなく、実際に行って風景をみて空気を感じるのはとても大きなことでしたね。

『リチャード三世』の演出を担当したのはルーマニアの方だったんです。イギリスの作家が書いたものをルーマニア人がどう解釈するか、そして日本人がどう演じるかという点は意識しましたね。余談ですが、シェイクスピアを演じるイギリスの役者はシェイクスピアの全登場人物のすべてのセリフを言えるそうです。日本には、そんな戯曲ってないと思います。シェイクスピア作品のそんな逸話にも、とてもイギリス的な印象を受けます。

さらにイギリスはとても自国のことを誇りに思っている気がします。なぜでしょうね。こちらが勝手にそう思っているからなのかもしれません。僕は海外をいろいろ旅行するけど、なぜかイギリスの入国審査が一番厳格に感じます(笑)。
「自分がどこから来たのか」とちゃんときれいに英語で答えなくてはいけないみたいな緊張感。本当のところは伝統と格式があるように思い込んで、勝手にこちらが緊張しているにすぎないのでしょうけれどね(笑)。イギリスは王室があって、とにかく物事がきちんとしている国という印象です。

良い意味で予想外だったDAKS

――今回の撮影でDAKSの洋服を着用した感想は?

佐々木
今日、DAKSのスーツを着用させていただくとお聞きして、非常に固い雰囲気のものを着るのかなと思っていました。先ほどお話したとおり、イギリスに厳格なイメージを持っていて、DAKSがイギリス王室御用達と聞いていましたから。肩の張るものを着るのかなと思いきや、意外に柔らかい感じで。あ、こういう風にされているのか、こういう服があるんだと。だから、こっちの勝手なイメージだけなんですよね。いろいろ多面的に(性格を)服が持っていると思うんですよ。いまは気持ちよく柔らかくすごくリラックスさせてもらって着させてもらっている。それは発見でしたね。

たとえば、何かを演じる時も、この人物は固い人物だと安易に決めて演じず、実はその人の中にはいろいろなものがある。そんな内面がひとつの作品の中でこぼれ出るように、色々な表情を作りたいといつも思って演じています。洋服も一緒で、服も多面的な部分を持っていると思うんです。そういう意味では今日こういう服があるんだと、改めて着させていただき、良い発見になりましたね。

佐々木蔵之介さんが見たDAKS

――最後にDAKSが125周年を迎えたことについてどう思われますか?

佐々木
DAKSが125年続けようと思って続けられたわけではなく。よし50年続けよう、100年続けようと思って続けられたわけではなかったのではないだろうかと。本当に日々、いいものを作ろうと努めて今に至っているはずです。
クオリティファーストっていうことはずっと変わらないではなく、その時代、その状況に合うように攻めてもいるし、守るべきものは守ってもいらっしゃると思うんですよね。伝統はそうして戦っていかないと続かないですし、まさにその戦いを継続されているのだろうなと思います。

今回のインタビューで演技や衣装を通じ、人間のさまざまな表現に踏み込んで、奥深い仕事を続けている佐々木蔵之介さんの思いがお分かりいただけたはずです。125周年を迎えたDAKSも伝統と革新を永遠のテーマに創業当初からのクオリティファーストのポリシーを追求し、更なる進化を続けて参ります。

BACK NUMBER

第一回 木村佳乃さん